デザイン会社が手掛けたリノベ物件とは?

INTERVIEW

代々木公園に密接する住宅街、小道を抜けた先、路地裏に位置する三角形の木造家屋。飲食店として改装するにはハードルが高く感じるこの物件が飲食店へと形を変え注目を集めている。デザイン・ブランディングという付加価値を創造することでローカルな代々木公園エリアの層から、ファッションやカルチャーなど感度が高い顧客まで幅広くファンを獲得することに成功している「nephew」。今回はその店舗の運営会社である&SupplyのCOO倉嶋氏と内装設計者である土堤内氏、PRの藤井氏に不動産の選択から内装設計、運営方法から予算組みまで包み隠さず伺いました。


飲食店舗としての物件選定と狙い

池尻大橋に構えるストリートバー「LOBBY」の2号店として、カフェ業態もプラスした飲食店を開業するための物件選びには意外なことに執着したエリアはそこまでなく、倉嶋氏は「物件が持つ力や魅力を感じれば、路地裏物件でも問題ないと思っていました。今回の物件は、駅チカで代々木公園からも近く、立地も良いと思っていました。」と言います。ビストロやエスニック料理など、一軒目業態の個店が多く、バーのような食後にお酒を楽しめる店舗が少ないことが特徴の代々木公園エリア。また、コスパ重視だけではなく、空間やお酒の価値に対して対価を払うことに障壁がない人々が住み、LOBBYのようなアパレル業界やクリエイティブ層が集まるこの場所を選択した。「客層や街の雰囲気に加え、建物の雰囲気や、賃料など総合的なバランスを見ても、理想と言える物件に出会えたことが決定打となりました。」(倉嶋氏)

木造家屋の課題と機能するデザイン

住居として建てられた戸建て家屋を飲食店として改装するには、生活に必要であったキッチンや風呂場の撤去、電気容量変更によるスペックの補填、スケルトンに戻す解体費など手間や費用が膨れ上がります。本物件は木造家屋であり、三角形という形状から、フロアには取り外すことのできない「柱」が多数存在。スクエア型の物件に比べて有効面積が限られることが課題でした。設計を行なった土堤内氏は「限られた面積の中での、キッチン設備や収納の配置、客席や動線の確保などフロアプランには難航しました」と言います。
フロアプランが何度も練り直された理由は、作業・運営面を考え、キッチン内に出来る限り柱を存在させず、動線に干渉しないレイアウトの検討が必要であったため。また、飲食店として最大席数の確保や動線の確保なども重要であった。お店の顔となる不規則に走るバーカウンターや、思わず見上げてしまう円形の吊り戸棚は柱に干渉しない曲線を用いたデザインに落とし込まれている。また、木造という改装の自由度に着目。外壁の一部を突出させ、ボックスシートを作ることで店舗の面積を増やした。また、1階と2階の間にスキップフロアを設け、客席に。空間を切り分けることで、この店舗でしか感じられない空間を作り出した。

飲食店の開業から運営までの費用

IT、広告、デザインや建築、イラストレーター、PRなど異色のバックグラウンドを持つメンバーで構成されており、設計やデザインまで自社で対応している同社。今回の店舗立ち上げに抱えた予算は1900万円、そのうち、家賃や敷金、保証金などの初期費用はおおよそ373万円ほど。倉嶋氏は「デザイン会社としてのショーケースとしての作り込み、そして空間を通しての新たな出会いや、仕事へと繋げる展開を目指してお店作りを進めました。そのこだわりもあり、当初予定していた予算から少し膨れ上がってしまった。」と語る。今回、カフェ業態も行うことで利用者の間口を広げ、会社としての認知の拡大も目指している。PR担当の藤井氏は「住宅街という立地を強みにコロナ禍においても近隣の生活者や子育てママ、若い女性など代々木公園エリアのローカルである新規層へのアプローチにも少しずつ手応えを感じている」と言います。飲食店として提供するフードやドリンクに限らず、デザイン会社という強みを活かしてロゴやメニューなどのグラフィックデザインやキーカラーの設定などビジュアルブランディング全体を自社で完結。また、アパレルなども制作しチームの特性を武器に、独自の発想とラフでカルチャー感度の高い表現で新しい価値を生み出す&Supplyに今後も目が離せません。

& Supplyは東京を拠点に活動するクリエイティブスタジオ。スペースデザイン、グラフィックデザイン、壁画製作など、空間に纏わるあらゆるビジュアルを幅広く手掛けており、ストリートバーLOBBYやnephew、ホームグッズブランドMYTONEなど自社で飲食業や物販事業も行っている。

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